2024年に読んだ本

随時更新していく。上に行くほど最近読んだ本。

エンジニアのための図解思考再入門講座: 情報の“本質”を理解するための実践テクニック

サブタイトルにもあるように、情報の本質を理解するための考え方が書いてある。

社会人を始めて8年目になる。一社目がSIerだったので、情報をどう構造化し整理するかということに関しては日々関心を持っていた。最近はこれらに関してある程度の自信があるが、社会人になりたての頃はわからなかったものだ。

この本は、これまでの経験で得てきたと情報の理解のテクニックが言語化されている気がする。SIer時代に読みたかったかも知れない。

11/16 読了


エド・ミラーのハンドリーディング入門  ーリミットホールデムで必要な技術

ハンドリーディングの考え方を詳細に解説している本

どのような思考で相手のレンジを絞っていくのかが解説されている。考え方が紹介されている本なので、この考えを実戦で応用していきたい。

練習問題が脳内で解くには厳しくて飛ばしたものがある。定期的に読み返す。

9/22 読了


なぜ働いていると本が読めなくなるのか

社会や労働環境の変化をたどりながら、人々と読書の関係性を紹介し、なぜ今の私達は本が読めなくなったのかを解説している。

仕事は自己実現のような風潮がある社会において、今必要な情報を最短で手に入れることが評価されるようになっていった。また、そういう価値観を社会全体が持ち、個人もその価値観の元に行動している人が多い。一方で、読書は歴史的背景などの文脈が与えられるし、求められる。この本ではそのようなものをノイズと表現している。このノイズは先述の価値観とは相性が悪い。それゆえに本が読めなくなっている。

この考えはかなり納得した。本が読めないという状態は、人の話をゆっくり聞く余裕がなくなっている状態とも言えるだろう。それだけ人々は忙殺されているのだ。

本の最後で、そういう価値観になった理由として、全身全霊を美徳とする考えが広まりすぎていることを指摘しており、かつその美徳に疑問を呈している。この疑問にはとても同意。

7/23読了


数学ガール/ゲーデルの不完全性定理

面白かった。

ゲーテルの不完全性定理は、数学の完全な形式的体系を構築することはできないことを示しているが、逆に言えば、常にその体系の外部にある真理が存在することも証明している。これはワクワクすることである。

最後の証明で読むスピードが失速したが、なんとか食らいついて読んだ。

形式的体系を構築するところはプログラミングの世界に通づるものを感じてワクワクした(これをコンピュータがない時代に考えているのがすごい)

7/17 読了


サピエンス全史 下 文明の構造と人類の幸福

かなり面白かった。

無知を発見したサピエンスは科学革命を起こし、資源を生み出すことができるようになった。これにより未来はもっと良くなるという確信が生まれ、信用を元にした経済活動を行えるようになった。そうすると、現物を超える富を回すことが可能になり、指数関数的に富は増えていった。長年気づきあげてきた宗教を土台とした思考の上に、資本主義の考え方が人々に根付くようになった。

この本の最後の方で著者は問いかける。果たして人類は幸せになったのだろうかと。結論から言えば価値観や思考の土台が変化しているので単純な比較が不可能であるのだが、直近の生命工学やAIの成長速度を見ると、人類を超えた種が生まれるのは確実で、そのときには今持っている思考の土台が通用しない世界になることが予想される。また、そのような世界に進めることが可能な状況になっている今、”今”の思考で動く人類に求められる疑問は、何をしたいのかではなく、何を望みたいのかである。

読み終わった後、人類がこれまで積み上げてきたものがもう崩壊するところに来ているところに、恐怖と興奮の気持ちが生まれた。

7/7 読了


サピエンス全史 上 文明の構造と人類の幸福

人類の歴史を知る本。多くの人類が存在していたが、なぜホモ・サピエンスだけが生き残ったのか。一言で言えばホモ・サピエンスは虚構を扱うことができたから。

帝国、宗教、貨幣、会社、今の時代を構成するあらゆるものは虚構である。

かなり面白い。

6/29 読了


スタッフエンジニア マネジメントを超えるリーダーシップ

エンジニアのキャリアとして行き着く先はマネジメントというイメージがあったが、スタッフエンジニアという、技術力を主に事業や組織に影響を与えていく働き方や肩書があることを知った。

前半はスタッフエンジニアの意義や組織の中でその肩書を得るための道のりが紹介されている。今の自分が働いている環境は人数が少なく、キャリアラダーなども全く整備されていないようなところなので、この本に書かれている内容はあまり当てはまらないなと思った。

後半はスタッフエンジニアとして活躍しているエンジニアへのインタビューで、これは面白かった。登場する人たちは組織や事業に(マネジメント以外の文脈で)強い影響力を与える人たちで、マネジメントの経験の有無や興味の有無は千差万別だった。ただ全てにおいて共通しているのは事業に対して情熱をもって取り組んでいることで、このマインドは今の会社でもどこでも成り立つことだろう。

キャリアについてはあまり参考にしにくかったが、結果的に働くモチベーションが上がる本だった。

数年後にまた読んでも良いかも。

6/23 読了


7日で完全攻略! 世界一やさしいポーカーの勝ち方

しっかり基礎。ポーカーをやっていく中で得た知識の再確認ができた。練習問題もほとんど正解したので嬉しい。彼女に読ませる

6/18 読了


テクノ・リバタリアン 世界を変える唯一の思想

賢くて合理的、そして巨万の富を持つ人が考える自由を紹介する本。これまでの自由に関する思想を網羅的に紹介した後、インターネットを筆頭にテクノロジーが発達した世界での新たな自由が紹介される。本当の自由には責任が伴い、その責任に耐えられない個人が発生してしまう。そのいい塩梅になりそうなのが、ある信頼できる組織の元で自由な世界を構築するような思想である。それはもうかつてのSFの世界に近い。自分はグーグルに全てを渡しているとも言えるので、この思想に対して共感していそうだ。

6/16読了


メタプログラミングRuby 第2版

名著。お恥ずかしながら今更読んだ。結論、もっと早く読めばよかったと思う。

ただ初期の頃にこれを読んでいたら過剰にメタプロを使ってみたくなって逆に質の低いコードを量産してしまうような気がするので、このタイミングで読んでちょうどいいかもと思った。

読んで、今日からメタプロをしよう!とは思わなかった。強すぎて怖い。ただライブラリのコードリーディングは楽しくなりそうだ。

6/13読了


ザ メンタル ゲーム 2 最良の状態ゾーンを意のままに操る

ポーカーをしているといわゆるゾーンに入ることがある。ポーカー中、仕草やハンド履歴などの大量の情報が発生する。これらの情報に容易にアクセス、処理ができ、意思決定に活用できている状態がゾーンである。無意識的にできているか、意識的にできているかの違いがある。逆に、情報に気付けなかったり、情報に溺れているときはゾーンに入れているとはいえず、ミスを招きがち。

この本ではゾーンとはなにかという状態を定義しており、そこに向けてどのように意識を向けていくべきか書かれている。本にも書いてあるが、ここに書かれている内容はポーカーに限らず、目標に向けて取り組むもの全てに通じる内容。

1と同様無意識的有能の話がでて、この本ではそれを更に拡張した話もでる。とにかくポーカーに関する思考を常にアウトプットしたいと思った

6/7読了


Effective Ruby: あなたのRubyをより輝かせる48の特別な方法

Ruby2.1の時代の本なので流し見程度で読んだが、面白いトピックが多かった。

パフォーマンスのところとか、普段の業務でも活かせそう。

5/29読了


生成AIで世界はこう変わる

こういう系、特に生成AI系は早く読んだほうが得だろうと思って読んだ。

3章では「生成AIは仕事を奪うか?」という話が展開される。結論仕事の複雑性によるところが多いしため一概にはいえないが、全体的な視点で言えば、生成AIは労働を奪うものというよりは、労働を補完するものとして活用されていくし、すでにそのような動きが進んでいる。(さらに、長期的なスパンで見ればどんな仕事もいずれ何らかの形で自動化され人の手から離れるだろう)

この部分に関しては、自分はあまり悲観的な気持ちを持っていない。今持っているスキルが置き換えられるようになったとしても、そのときは別のスキルを身につければいいだろうと考えている。

4章の生成AIの芸術の是非については興味深かった。現在の生成AIのレベルの高さは人間が区別できないレベルである。また、人間は本能的にAIが作ったものよりも人間が創作したものを好む傾向がある。このあたりはXの議論を見ていると頷ける。

この部分に関しては、自分はまず生成AIに対して期待する部分もあるし、それに反発する人の気持ちも理解できるため、複雑な部分で、明確に言語化することが難しい。議論を見ているとお互い極論を語っていて平行線の印象。ただ、技術が規制されるような方向にはいってほしくない。

全体的にワクワクしながら読むことができた。

5/28 読了


東大卒ポーカー王者が教える勝つための確率思考

木原直哉の本。少し古い。わりと近い思考回路を持っていることがわかって嬉しい。

5/17 読了


ポーカーとゲーム理論 ――最適化戦略構築からエクスプロイト戦略への応用まで

簡略化したゲームをもとに、ゲーム理論的な思考が紹介される。この思考こそがこの本の醍醐味であり、一読しただけでは理解したとは言い難いので定期的に読み直したい。

「無差別」という言葉がよく出てくる。意味は、「相手からより好ましい選択肢をなくすこと」を指す。GTOが「いかに相手から搾取されないか」のプレイであることを思い出す。

凝縮レンジと両極端レンジの考え方は有用

今まではブラフするか、しないかという思考だったが、「この局面でブラフに適しているハンドはなにか?」を常に意識する

5/10 読了


このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法

まだ転職したいとは考えていないが、早めに読んでいて良かったなと思った。

どちらかというと、自分はこの思考法を若干持っていたようだ。よりその考えが強化された。

5/5 読了


「3か月」の使い方で人生は変わる Googleで学び、シェアNo.1クラウド会計ソフトfreeeを生み出した「3か月ルール」

時間術系の本。どういうことに取り組むかを考え、それに取り組むときの心構えが書いてある。最近なにかに取り組んでいることが無い気がしたからこの本にあやかって行動してみようかなとおもった。3ヶ月という単位が長すぎず短すぎずいい塩梅の期間。

直感的に取り組みたいなと思ったことがポーカー

5/3 読了


テルを見抜け! ライブポーカーの勘所

ライブポーカー特有のテルと、なぜそのテルが発生するのかが書かれている。これを使いこなすのはかなりの経験が必要そうだが、普段からテルを出さないように意識することはできそう。

4/19読了


情報セキュリティの敗北史

タイトルの通りの本。情報セキュリティに関する歴史が濃密に書かれている。参考文献だけで80ページ近くある本。

システムの脆弱性はバグだけにとどまらず人間のミスからも生まれてしまう以上、仕組みで解決するアプローチだけでは不十分であり、行動経済学や心理学など、人類の叡智を全て費やすレベルの問題であることが本を読んでよくわかった。

正直本を読んで現状は悲惨で、がんじがらめで、どうしようもないと感じてしまった。

かなり面白くて一気に読んでしまった。

4/1読了


変な家

設定が面白くて一気に読んだ。読みやすい

3/23読了


スマホ脳

最近ダラダラスマホをいじってしまうので読んだ。かなり影響を与えてくれた本。

精神科医の立場で、多くの論文の結果を交えながらスマホがもたらす脳の影響を説明している本。序盤の人間の脳の仕組みの話が興味深かった。人類として生き延びるために、情報に過敏になったり、ストレスを感じるようになっている。これは本能に近いものであり、スマホはそれを興奮させる。特にSNSはその性質をハックしており、本能的にのめり込んでしまう。

ブルーライトと睡眠時間、うつの関係性、学力や集中力の低下など、あらゆる関係性を論じる論文が多数紹介されている。具体的なデータが出ているわけではないが、経験的にもほぼほぼ正しい内容とみて良いだろう。

また、情報がいつでも取り出せる世界においては、集中力が大事な能力やリソースであるという視点は面白かった。

とりあえずSNSの利用時間に制限を加えてみた。

3/14読了


実務で使える メール技術の教科書 基本のしくみからプロトコル・サーバー構築・送信ドメイン認証・添付ファイル・暗号化・セキュリティ対策まで

直近業務でメール配信周りを扱ったときに、メールについて全然しらないなーと強く感じた。そんなときにこの本が出たので思わず購入

メール周りの技術について、なぜその技術が生まれたのかという背景から説明してくれている。メールサーバの構築など、具体的過ぎて軽く流した部分もあるが、内容に満足。

3/8読了


行動経済学が最強の学問である

行動経済学の博士を取得した著者が書いたビジネスにおける行動経済学の本

行動経済学自体は歴史が浅く、十分な体系化がされていないため、著者の独断で体系化されて紹介されている。

大きくは「認知のクセ」「状況」「感情」に分類され、それぞれのトピックが書いてある。

小ネタが集まっているタイプの本なので、気軽に読めて面白い。

アフェクト(淡い感情)の概念が自分にとっては学びが大きかった。

昔読んだダークパターンの本を思い出した

2/29読了


現代語訳 論語と算盤 (ちくま新書)

2024年に一万円札の顔になる渋沢栄一が書いた、「論語と算盤」を読みやすく現代語訳した本。

道徳はすべての人が持つべきものである。また、道徳と経済的な成功は両立する。渋沢栄一の考え方では、まず正しい志(道徳)を持ち、それを達成するために正しい道(実業)を歩めと言っている。読んで良かった。女性関係にだらしないところも含めて興味を持った。

2/26読了


ザ メンタル ゲーム ──ポーカーで必要なアクション、思考、感情を認識するためのスキル

ポーカーはミスしないことが重要なゲームで、ミスは自分のメンタルによって引き起こされる。メンタルを動かすメタ原因を知っておくことはポーカーの上達に必至。

尺取り虫の上達モデルや、無意識的有能の考え方はなるほどなと思った。

この本をきっかけになるべくハンドのメモを残すようにしている。

2/13読了


Clean Architecture 達人に学ぶソフトウェアの構造と設計

「詳細」と密結合したコードが生み出す地獄を経験した著者が、どのようにそれらを回避するのかが書かれている。

境界を見極めて、定義し、それらを維持することの重要性は読みながら納得。境界を維持するのもエネルギーを使うので、普段の開発で常に意識すべきだろう。とはいえ、全力でクリーンアーキテクチャに取り組むとボイラーテンプレートの塊になりそうだ。アーキテクトの本質はトレードオフなので、教条的にならなくてもいいが、基本意識するで良さそう。

「詳細」の決定を先延ばしにするという表現が好き

よくある同心円の図はわずか数ページの章の一部だったのが驚き。

2/3読了


ポーカー数学の教科書 ──勝つために知っておくべき必須要素

4と2のルールと言った、よくある話が書いてある。それ自体には新しい知識は何もなかったが、プレイヤーの特性を加味して考察しているところが良かった。

インプラインドオッズの考え方はぼんやり知っていたレベルだったけど、実践でも活かせるようになった。


千年を超えて君を待つ

源氏物語オタがタイムスリップして紫式部のサポートをする話

大河ドラマの関係で、テレビで紫式部を紹介する番組を見ていたため、その知識とリンクして読むことが出来た。

話はシンプルで、韓国行きの飛行機でサクッと読めた。